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副業解禁の企業事例とこれからの課題

副業を解禁した企業は僅か8%

政府が主導する「働き方改革」の一環により厚生労働省は2018年1月に「モデル就業規則」を公開。副業・兼業に関する規定が新設されて副業・複業は一気に広がるかと思われました。

しかし、関東経済産業局が平成30年度に発表した「兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査報告書」によると実際に副業を取り入れた企業は調査対象となった1,170社において、おおよそ8%前後という結果となっています。



■大企業

自社従業員が他企業で兼業・副業を実施 7.5%

自社従業員が個人事業主として兼業・副業を実施 8.7%

他社従業員または経営者の兼業・副業先として受け入れ 5.4%

■中小企業

自社従業員が他企業で兼業・副業を実施 8.9%

自社従業員が個人事業主として兼業・副業を実施 6.0%

他社従業員または経営者の兼業・副業先として受け入れ 8.3%

※関東経済産業局「兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査報告書」

※「すでに解禁して、利用者がいる」「解禁はしているが、利用者がいない」を合算した割合

新しいスキルの習得や専属で雇用できない高度なスキル保有者の活用といった副業解禁によるさまざまなメリットが語られていますが、実際にはまだ積極的な運用には至っていないようです。

副業解禁により得られるメリット実例

世間一般で見ればまだ二の足を踏んでいる副業解禁に、一足先に踏み切り実績を上げている企業があります。

日本最大級のクラウドソーシングサイトの運営会社である株式会社クラウドワークスは「働き方改革の体現者となる」という目標を掲げて自らが先陣を切って副業解禁に取り組んでいます。

全社員122名のうちの12名が実際に副業を実施。関心がある従業員は20名程度に登るほど、社内に副業に対する取り組み方が浸透しています。

自社のクラウドソーシングサービスを利用して働く従業員もおり、その結果ユーザー目線でのサービスの問題点に気付いて改善につながるという成果を上げています。

また、副業の自由化だけでなくリモートワークやフレックスタイムを導入した人事制度「ハタカク!」により、全社員の60%以上が業務効率の向上を感じるほど働き方改革による大きなメリットを受けています。

グループウェアサービスのサイボウズ株式会社も、いち早く副業解禁に取り組んだ企業の一つです。「何が問題なのかわからないからやってみよう」というITベンチャー企業らしいフットワークの軽さで副業を解禁し、さらに新しい制度の導入にも積極的です。

サイボウズは「複業採用」を積極的に行い、すでに別の企業に勤めているエンジニアなどビジネススキル保有者の副業・複業先として短時間・短期間の就業も可能な制度を運用しています。

会社側から見れば本来高額な給与を支払わなければならない人材に対しても、フルタイム分の給与を払わずにそのスキルを有効活用できるメリットは大きく、複業採用される側からみても時間を有効活用して収入につなげられることは大きなメリットです。

この2社以外にも収入増や業務領域の拡大による社員のモチベーションアップや社員自身の成長をメリットして考える企業の声がありました。



副業解禁を広げていくために必要なこと

雇用側にも被雇用側にもメリットが大きいとされる副業制度ですが、統計を見る限りは大きな広がりを見せる傾向はありません。そして副業が広がらない原因として制度の導入に当たり企業側にとっての懸念点が少なくないという問題点があります。

「兼業・副業を通じた創業・新事業創出事例集」によれば積極的に副業を活用しない理由として「業務への影響(疲労による効率悪化)」や「業務に専念して欲しい」という意見が大企業・中小企業ともに60%以上を占める理由のトップ2となっています。

良い影響があるとされる反面、副業も含めた業務量がコントロールできずに本業へ悪影響を及ぼす恐れがあると考えている企業が多いようです。

また、「法務上の管理の問題」を上げる大企業も多くありました。雇用保険、厚生年金、社会保険などの負担はどこがするのか法律上の超過勤務はどこで判断するのかといった問題に対する懸念がその理由です。

調整を行うためには本業・副業の両企業間で調整する必要があり、これがコストアップの原因になることもあります。現時点では具体的で明確なモデルケースが存在しないため導入へ二の足を踏んでしまうのです。

副業の導入を進めるためには副業解禁を積極的に進めている企業の具体的な対応内容やそれにより生まれたガイドラインを世に広める事が必要でしょう。これは各企業が独自に進めるだけでなく、働き方改革を推し進める国が先導し、また副業導入の障害となる問題に対しても積極的に対応していくことが望まれます。

副業解禁はこれからも徐々に広がっていくことは間違いありませんが、それがどの程度の速度で広がるかは、どれだけ本気で働き方改革を進めたいかという国の意思にかかっているでしょう。



<参考リンク>

・副業の定義って何?副業は本当に解禁?

・副業、未だに許可されない現実と増加の兆しは?

・THE Sideline Interview002:株式会社gojuon CMO 佐藤潤氏(前編)

 

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