パラレルワーカーShinoさんの「リストラ、ラッキー」な転機&徹底、時間節約術
家族も大事にしながらパラレルワークもこなすテクニック
夏野:結構、時間とか気にされる方ですか。
Shino氏:
そうですね。女性はきっと結婚とか出産とかを機に仕事から遠のいたりする方も多いと思います。自分の時間は限られているので、自分は何を優先するべきか、否が応でも決めないといけない。
だから私は、家族との時間を大切にしたいので夜の会食には出ません。全部ランチでお願いしています。
忘年会も「忘年ランチ会」でした。夜だとダラダラ飲んでしまいがちですが、忘年ランチ会なら、コース終わって1、2杯飲んだらさよならができる。みんな次があるのでとても区切りがいいです。
夏野:なるほど。先ほど「何を優先すべきか」とおっしゃっていましたが、何を優先されていますか。
Shino氏:
やはり1番は、子どもや家族ですね。
夏野:では、その家族との時間を守るためにも時間配分って大事だと思うのですが、気をつけていることを教えてください。
Shino氏:
家事に割く時間はしっかりと考えてやっています。家で仕事をしている時の落とし穴って、どうしても、やっていない家事が気になることだと思うんです。だけど、会社員の時って9時~17時まで働くじゃないですか。その時間、掃除しないですよね、みんなオフィスで洗濯物を干したりしない。ちゃんと仕事をその時間内にするから、お勤めの人は職場にいられるわけです。でも在宅ワーカーはやろうと思えばできてしまう。
夏野:そうなんですよね。
Shino氏:
だから、ルールを決める。
たとえば、保育園に送りに行った後、戻ってからの30分は、私Podcastが好きなので、Podcastでマーケティングのお勉強を耳でしながら、残りの家事を30分だけやっていいって自分に決めて、30分の間にできることを集中してやります。Podcastの良いところはここ。ながら聴きができるので、家事しながらできます。それが終わったら、もう仕事。部屋も閉めてやります。
夏野:それ、いい方法ですね。つい家事に時間を割かれがちです。
ところで旦那様は、お仕事に対して理解のある方ですか。
Shino氏:
好きにしていいよ、と言ってくれています。君にストレスがかかることが俺にはストレスだって。
女の人にストレスがかかると、とばっちりをパートナーが受けがちです。私の場合は、あんまりじっとしていられないし、お金も稼ぎたいし、子育てもしたい。だから、好きにさせてもらっている今は、ちょうどいいですね。
でも、気をつけている点はあります。
2週間に1回平日に、1日完全オフの日を作るようにしています。それを予定に組み込んでいて、スケジュール表に入れてしまいます。平日に1日、自分の時間を作ってしまえば、土日は「(家でゴロゴロしているなら)旦那がやってよ!」という気持ちにならないので。互いにやさしくなれるように時間配分をしています。オフの日は友だちと過ごしたり、1日中ごろごろしたり好き放題やっていますね。
夏野:先にオフを組み込んでいるんですね。
Shino氏:
そうですね。あと「ありがとう」はたくさん言っていますお互いに「あなたのおかげ」って。
夏野:すてきですね。家事分担は、どうされていますか?
Shino氏:
基本、全部私です。
夏野:曜日で分けたりとかは?
Shino氏:
しないですね。
新婚当初に、やらなくちゃみたいなのがすごいあったから、ピカピカにしてたんです。でも、私はこんなにやってるのに、なんで彼は何にもやらないんだろうとか、うわぁってなった時に、凄まじい喧嘩に発展したことがあって。別に俺は頼んでない!みたいな感じになって。
家事の分担とかルールとか決めない方がいいんだよ、決めるからイラつくんだよ。 だってみんなそれぞれ疲れている日もあるし、なんか機嫌が悪い時もあれば、できない時だってあるわけじゃん。それなのにルールを決めちゃうとやらなきゃという感じになるからストレスが溜まるんでしょうって。俺そういうの嫌だ、と。
夏野:なんだか、かわいい。
Shino氏:
年下なんです(笑)。
でも確かに、私はすごいきれい好きだから、きれいにしておきたい。だけど、向こうは気にならない。なので、こっちは気になるから「自分のためにやっている」と思ったら、あんまりイラっとしなくなりましたね。
ただやっぱり「やってよ」、という時はあります。そういう時は言いますね。「最近洗ってなくない?」とか言うと「バレた(笑)」と手伝ってくれます。
夏野:やっぱり、このご夫婦、かわいい。
Shino氏:
イライラしてきたなーと感じたら、「そろそろキレそう~!」とかいうと、慌てて「何やればいい?」みたいになってますよ。
でも、それも工夫ですよね。時間がない中で、仲悪く過ごすのはもったいないし不毛です。同じ時間を過ごすなら、仲がいい方が楽しいです。
パラレルワーカー的時間の効率化対策
夏野:パラレルワーカーとして時間を作るための工夫を教えてください。
Shino氏:
今は自分が稼ぐというよりも、そのうち自分で利益を得られるために時間確保の優先順位が高い。自分の時間が使えない分、時間を買うために外注しまくっているという感じです。例えば、記事を1本書くのもSkypeで話して書いてもらったほうが早いし。
自分で全部やろうと思うとストレスが溜まって挫折しがちです。外注して人に任せる力を付けることも、大切かなと思います。今はそういう時期でいいかなって。
夏野:時間を買うために外注するんですね。
Shino氏:
はい、あと1日の中で、案外、メールやLINEにかかる時間って、結構長いものです。何かをやっていても鳴ったら作業は中断。9時から17時までしか働けない身としては、非常に非効率です。
そのため私は、メールソフトを立ち上げません。メールのソフトを毎回閉じて、この時間はメールを返すってなった時にはじめてメールソフトを立ち上げます。そして一気にさばいてさばき切ったらまた消して、次の作業。だから、メールソフトは立ち上げっぱなしにはしません。
というのと、携帯もみんな自動でメールを受信する設定にしていると思うんですけど、メールサーバにアクセスしないと届かない設定にしています。
夏野:すごい徹底してますね。行動の主体が自分にある。
Shino氏:
まずメールは気持ちいいですよ、そうすると。ちょっとしたことなんですけどね。あと、ツール系でおすすめなのが、ボイス入力です。あれで入力すると時間が、1/3くらいになる。
例えば LINE で返信しようとするじゃないですか。メモ帳とかでもいいですけど。必ずこのマイクマークを押して音声入力するんです。
「大変申し訳ございませんが、次の日曜日のスケジュールをリスケさせてください、まる」って、だいたい大丈夫なわけですよ。
夏野:漢字もちゃんと変換できてますね。
Shino氏:
全部やってくれるから、あとはちょっと修正して、ぱっと送るだけ。本当にすごい便利です。あとはPodcastの文字起こしも自動でやっています。その時は、Google ドキュメントを使っています。
夏野:私もやったことあるのですが、うまくいきませんでした。
Shino氏:
Windowsの場合は、VBCABLEというソフトを入れる必要があります。そしてGoogleドキュメントを開いてマイクマークを押して、音声データを再生すると、その音声を聞いたGoogleドキュメントが自動で文字お起こしをしてくれます。ただ精度は、完璧とは言えないので気を付けてください。
あとスケジュール管理アプリの「ライフベア(Lifebear)」は、便利ですね。今までは、スケジュールアプリとメモアプリがバラバラでした。これなら、メモ帳もフォルダ分けできるんですよ。画像も貼り付けられますし、ToDoリストの管理もできる。しかもパソコンで開けるのでよく活用しています。
とくに携帯で情報取集をした時、いいなと思ったら画像にしてアイデアと一緒に、メモ帳に残しています。
夏野:ああ、なるほど!
Shino氏:
あと一時期、使っていて便利だったのが、家事代行サービスの「タスカジ」です。時間を考えた時に、自分に最もストレスを与えているのは料理だと思い、頼みました。料理は、冷蔵庫の中に何があるかとか、何時に誰が帰ってくるとか、いろいろ考えながら、これ買い足して、これ作ってと始まるので、総じて負担がたくさんある。
で、タスカジさんに頼んだところ、3時間来てくれて15品くらい作ってくれるんです。優秀なタスカジさんだと、全部冷凍できるようにしてくれます。冷凍のパターンも2つあって、ハンバーグを焼いた状態で冷凍するか、まだ焼いてない状態で冷凍するかという。
それで15品くらい作って帰ってくれるので。だいたい5日間くらい何も考えずにすむわけです。あとは味噌汁作るだけ。おいしいし、それで毎日回していたら、仕事に集中できる。買い物のこととか考えなくていいですし。
夏野:なんでやめたんですか?
Shino氏:
実家の母が「私がやる!」と言ってくれたので。すっごいたくさん作っては持ってきて。その代わり材料費は払っています。ありがたいから、お金を払ってやってもらっています。
ばあばのやりがいですよね。孫に会いに来れるし。おかげで活き活きしています。もともとお料理が大好きだから、自分の好きなことで役に立っている・感謝されることが母にとっても生きがいの一つになっているみたいです。
夏野:パラレルワーカーとして、気を付けていることはありますか?
Shino氏:
お金ですね。お金の管理。OLの時とかって、税金のこととか社会保険のこととか含めて、全部会社や国がやってくれます。フリーランスになると、入ってくる収入やサイクルからして一定じゃない。だから分からない支払がいつどのくらいあるか考えずにやっていると、マズイですよね。払えないとかも出てくると思うんです。
だから、お金のことはしっかり考えてやらないといけないですね。特に、企業に勤めていた人が独立する場合は、きちんと考えてやったほうがいいと思います。
夏野:どれくらいどうすればいいですか?
Shino氏:
私の場合、お金の管理がとても苦手なので、税理士さんに頼んでいます。自分で検索しながらするよりも、税理士さんに「これってどうなってるの?」って聞いて教えてもらう方がいいですし、「これは経費にできる?」「一体いくら取っておけば来年の住民税払える」とか、いろいろ相談できるところがいいです。
あと、「来年はこれくらい売上作りたいんだけど、今のままだと絶対無理だよね、どうしよう」とか相談する。いろんな経営者とかいろんな人たちのお金のこととか、成功した人も失敗した人も両方見てるから、そういうケーススタディがいっぱいある人と話ができると、お金のこともものすごく勉強になります。
夏野:いい税理士さんですね。
Shino氏:
そうですね。だからその手のプロの人にお願いを、一旦してみたりとか。それで費用対効果があまり見込めないならどうするか考えればいい。一旦外注しまくるというのは手かなと思っています。だからお金に関しては税理士さんにお願いしています。
夏野:税理士さんとは、どのような契約をしていますか。
Shino氏:
月額でやっています。確定申告の時にまたプラスで払いますが。私の場合、こういう性格で、しゃべりたい方なので(笑)。毎月、絶対対面して相談にのってもらえるプランにしています。
面談なしのプランなら、もっと安くやってくれるはずです。対面の時間がない時はSkypeでもいいみたいですし。
でも今はなるべく関係性構築したいから、毎月行くようにしています。関係性ができたらSkypeにしたいですね。行き帰りの時間がけっこうかかるので。
ちなみに請求書発行は、マネーフォワードのMF請求書を使っています。郵送もしてくれるので時短になります。
夏野:最後に何か一言、お願いします。
Shino氏:
リストラがけっこう私の中で、ターニングポイントになっていて。そうは言っても、一般的なリストラは「どん底」と思われがちですが「ピンチはチャンス」とは、よく言ったもので、選択肢がなくなった時に、人は新しい選択肢を自分で作るものなんだなって思いました。
だから、ピンチはチャンスだと思います。
あと「まずは、やってみること」は大事だと思います。完璧を目指して、始めるタイミングを準備ができるまで待つよりも、「やる」ほうが100倍価値があります。準備が全部整う前に、まずはやってみることをぜひ心がけるといいんじゃないかなと思います。みなさんも、がんばってください!
<取材を終わって>
Shinoさんのことをスマートに説明すると、フリーランスのPRとWebメディアの運営を行う、美人パラレルワーカーとなる。決して嘘はついていない。でもそれでは、何となくとっつきにくい印象を与えてしまう。彼女はもっと葛藤して、悩み、その中でWebメディア「Key Question」を通じて色々な人の言葉や考えを伝えている。職種は違えど、同じく人の思いを伝える人間として、私はこの先、何にのせて発信するだろう。そして、あなたは? と少し考えさせられるインタビューだった。
<参考リンク>
・「Key Question」:https://keyquestion.jp/
・Sideline Interview001:Eigtmedia Shino氏(前編)~フリーランスとして独自メディア・PRコンサル・専業主婦を行うパラレルライフの紹介~
姉妹メディア『The Turning Point』より
・TP Interview 005:株式会社家’s 代表取締役社長 伊藤昌徳(前編)~脱サラ後、手探りで地方起業に走り出し、地方創生のビジネスモデルを確立した経緯に迫る~
・TP Interview 002:日替わりBar Tonzura オーナー 櫻井謙充(前編)~会社員生活を辞めて独立へ。自由を掴むための起業とは?~