2019.05.25

知識・スキル

副業でケガをしたら保険はどうなる?―労災保険、健康保険、損害保険など―

副業でも作業中や通勤中のケガや自動車運転事故の可能性があります。多少でも危険性のある仕事の場合には事故対応と保険について、仕事に就く最初に確認しておいた方が良い事項です。

アルバイトなどの事故への対応は会社によって、親身に扱ってもらえない場合もあります。請負契約だと切り捨てられる場合もあります。リスクは自分にかかってくる場合以外にも他人に対しての損害賠償では多額になる危険性もあります。



労災保険の適用

労災保険とは業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、または死亡に対して、労働者やその遺族のために必要な保険給付を行う制度です。仕事をしていてケガをしたなどに業務上の災害で被った傷病を業務災害と言います。また、労働者が通勤時に被った傷病を通勤災害と言います。労働者には正社員でなくてもアルバイトやパートなどすべての労働者が含まれまれるので、副業であれその仕事中に発生したケガであれば労災を申請できます。

労災保険は会社が必ず入らなければならないものであり、保険料は個人の労働者ではなく全額事業主が負担します。ただし労災保険については仕事先の上司が詳しくない場合も多いため、人事の人と相談して進めていった方が良いでしょう。

ただし副業がアルバイトなどの企業の直接雇用ではなく、個人の請負形態の場合が問題です。会社は社員ではないので労災適用はできないと言う可能性があります。

個人で起業している場合はどうなるでしょうか。労災保険は経営者の加入はできません。ただし、個人事業主であっても個人タクシー業者や個人貨物運送業者、大工やとび職人などの労働者に準じて保護することが適当であると判断される事業である場合は、労災保険に特別加入することができます。



健康保険

会社の勤務者が加入している健康保険制度では、「労働者の業務外の事由による疾病や負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行う」と法律で規定されているので、業務上の事故には適用できません。

しかし、実際には副業では労災保険適用が難しく、個人負担による健康保険で対応する場合もあるかとは思います。なお健康保険には大手企業などの会社別、業界別の「組合健保」と中小企業が加入する「協会けんぽ」があります。個人事業主が加入する国民健康保険には保険給付は業務外の事由という制約はありませんので、業務中のケガでも保険適用は可能です。



傷害保険

個人の負担で任意に加入する保険に民間の普通傷害保険があります。普通傷害保険は、一般的に補償の対象となる人(被保険者)が「急激、かつ偶然な、外来の事故に遭いケガをした場合」に適用される保険です。なお損害賠償保険のように「日常生活において」という前置きがないので、仕事上のケガにも適用されます。ただし特約で対象が規定されている場合もあります。個人負担でのリスク管理ですので会社の労災保険との併用は可能です。



損害賠償保険

個人賠償責任保険は日常生活で他人の物や人の事故を弁償する時に適用されるもので、業務中の事故には適用されません。

業務上の賠償責任保険は会社など団体で入るものです。個人では入れず、一般に賠償責任保険という場合には、自動車保険のように独立した保険商品や他の保険商品に付帯する特約は除かれますが、これらは広義の賠償責任保険には含まれます。

自動車保険では、法律によって加入が義務づけられている強制保険があります。自動車損害賠償責任保険です。自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)においては、自動車(オートバイを含む)原動機付自転車の運行により他人を死傷させた場合において、その被害者に対し車両の運行供用者が損害賠償の義務を負う場合に、その車両の運行供用者が被る損害(賠償額)を担保する保険(賠償責任保険)は会社が加入するものです。労働者個人が賠償するものではありません。自賠責保険だけでは保険の限度額の面や被保険者自身の補償の面で不十分であり、任意で加入できる保険商品が民間の保険会社などから販売されており任意保険と言われます。



まとめ

副業における業務上のケガはとかく泣き寝入りになりがちです。アルバイトには適用されないというのは間違いです。会社が労災保険の保険の手続きが面倒なだけです。また本業の仕事とは関係がありません。しかし、副業者も申請手続きが面倒なこともあり本来はダメな一般の健康保険で、自己負担で対応している場合もあるでしょう。ケガが大きい場合は大変です。自分のケガだけでなく他人にケガをさせた場合はより深刻です。自動車の事故の危険性から強制保険や任意保険などの会社の加入状況と責任負担は、仕事の初めに確認しておくべき事項でしょう。個人では金額的にリスクを対応しきれない分野です。



<参考リンク>

・会社に在職しながら、上場企業で就業規則違反をして副業をしていた人事が教える、副業解禁の真実

・副業初心者が知っておくべき確定申告のよくある誤解3選

・Sideline Interview001:Eigtmedia Shino氏(前編)

 

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