2019.06.01

インタビュー

自分がやりたいことを純粋にやりたい – 日替わりBar Tonzuraオーナー 櫻井謙充(前編)

 

自分の自由にやれることが一番。
自分がやりたいことを純粋にやりたいから起業しました。

 




マーケティングコンサルタントと、シェアリングバーのオーナーという二足の草鞋(わらじ)を履いて起業した櫻井氏。

「自分が好きなこと、やりたいことを仕事にして、自然体で自由に生きる」

ということを見事に体現している櫻井氏に、起業に至った背景と、起業前後の変化について語ってもらった。

 

~好きで続けてきた仕事と、やってみたかったことで起業しました~

【インタビュアー:岡本康典】まずは簡単に自己紹介をお願いします。

【櫻井氏】

櫻井 謙充(かねみつ)、37歳です。
2016年の9月に独立しました。

2つ事業をやっています。
1つは個人事業主として、主に中小企業やベンチャー企業のマーケティングコンサルをやっていて、新規事業開発のお手伝いなどをしています。

もう一つは、今年の8月に「日替わりBar Tonzura」をオープンし、そこのオーナーをしています。
バーは元々やりたいと思っていて、今年の1月くらいから本格的に動き始めて、4月の後半に物件が出てきて、8月にオープンしました。



 

【岡本】マーケティングコンサルは独立前からされていたんですか?

【櫻井氏】

そうですね。僕は2003年の4月の新卒で、3年間外資の医療機器メーカーで営業をやりましたが、このまま定年までやるのは難しいと思って辞めました。
その次は大手広告代理店の子会社に入社して、そこから先はずっとウェブマーケティングをやってきました。マーケティングとか広告が好きなので。

バーの方は就職した頃から好きで、結構通ってました。
将来的にはバーをやるのもありだなと思っていました。
でも本格的に考え始めたのは独立してからです。

 

 【岡本】何かきっかけがあったんですか?

【櫻井氏】
実は転職して4社目の時に、もう仕事を続けるのが嫌になって会社を辞めてしまったんです。
なんとなく九州に行ったりして、あてもなくぶらぶらしてました。

でも、それまで4社で仕事をしてきて、次5社目に就職することは考えられなかったんです。もう無理だな、と。
でも、マーケティングは好きなので、それで飯を食おうと思ったのと、昔から興味のあったバーというのもちょっとやってみたいと思ったんです。

 

 【岡本】何か4社目で大変なことがあったんでしょうか?

【櫻井氏】
3回転職して4社目だったので、起業するという考えもなく、このままサラリーマンでやっていこうと考えていたんです。
でもけっこう僕は抱え込みやすくて、仕事のトラブルも誰にも相談できず、というか相談せず、抱え込みすぎて、きつくなってきました。

最後と思っていた4社目でも難しいとなってくると、根本的に会社員が向いていないことにも気づいたし、もう辞めてもいいかなって思うようになりました。

 

~サラリーマンが合わなくて、自分でやることにしました~

【岡本】会社を辞めてから、何で起業しようという気になったのでしょうか?

【櫻井氏】

僕は自分から、世の中を変えるようなプロダクトを生み出したいとか、世の中にインパクトを与えたいとかという考えはないんです。

4社でサラリーマンをやってうまくいかないし… ただ、マーケティングという仕事は面白くて好きだから、じゃあ自分でやった方がいいかなっていう感じでした。

もっと言うと、代理店の仕事って、クライアントの成功が代理店の成功とつながるかって言うと、そうじゃないんですね。クライアント側としてはできるだけマーケティング費用を抑えて成果を出したいけど、代理店からするとマーケティング費用をガンガン使ってもらわないと儲からない。

なので、代理店が受けたがらない仕事をやっていけば、とりあえずは食っていけるという考えはありました。
であれば、自分がやりたい業種のお客さんと仕事をやっていければ、生きては行けるんだろうなと思って始めた感じです。



 

 【岡本】起業して2年くらいやってきて、今どうですか?

【櫻井氏】
だいぶ変わりました。サラリーマンの時はハードワークだったんですけど、個人で始めてからは、自分の信念というか、興味を持ったサービスとか、
一緒に働いていて成長させてもらえるお客さんを選んでお仕事をさせてもらえています。

先が見えない不安もあるんですけど、精神衛生上はサラリーマンの時と比べていいのかなと思います。

 

 【岡本】起業当初、クライアントの獲得はどうされていたんですか?

【櫻井氏】
初めはクラウドワークスやランサーズなどからスタートして、友達やお客さんからの紹介もありました。

お客さんの層はけっこう幅広くて、5名くらいのウェブサービスを取り扱っているベンチャー企業とか、上場企業の子会社とか、企業規模も取り扱っている商材も幅広いですね。ただ共通して言えるのは、社内にマーケティングの部署がなくて、社長自らやっているとか、別の仕事をしている人が兼業でやっていることが多いです。
代理店にお願いしたくてもできない企業ですね。

 

~もう会社員に戻るのは無理。自由だから~

 

【岡本】会社員時代と何が一番違いますか?

【櫻井氏】
やっぱり時間の使い方ですかね。
会社員の時はそれこそ休みなくフルで働いてたんで。フリーになると、ある程度自分の生活にメリハリもついてきたというところが一番違うと思います。

あと、働き方も全然変わりました。
基本的には午前中は自宅で仕事をしているので、満員電車でストレスを抱えることもないです。やっぱり一番は、働く時の気持ちが全然ポジティブになっているかなと思います。

自分の自由にできているというのが、自分にとってすごく合っているんだろうなって感じです。

 

 【岡本】もう会社員には戻れないですか?

【櫻井氏】
もう無理ですね(笑) 朝スーツを着て電車に乗るのとか、絶対無理だなー(笑)
正直、今はストレスはないです。

 

 【岡本】この先は、例えば店舗の複数展開とか、仕事の一部を人に任せるとか、そうした考えはありますか?

【櫻井氏】
僕がなぜ一人で始めたかというと、サラリーマンに向いていないという理由もありますが、結局、自分がやりたいことを純粋にやっていこうと思ったからです。

例えばマーケティングでは、代理店にお願いできずに悩んでいる中小企業やベンチャー企業に、そういうノウハウを教えたいなという思いもあります。

バーに関して、シェアリングバーというコンセプトにした理由は、実は飲食店の経験はないからなんです。
料理も作れないし、カクテルも作ったことないし。

でも、バーというコミュニティーはつくりたいと思ってたんです。

最近、シェアリングバーという業態は福岡や北海道、それから都内だとホリエモンが作ったりしていて徐々に流行り始めてきています。そのシェアリングバーという業態をもう少ししっかりやって、ビジネスとして成立させたいと思ってます。

なおかつ、このシェアリングバーはコミュニティーとしてつくりたいと思ってたので、このお店をきっかけに新しいウェブサービスができたり、ベンチャーへの投資が成立するとか、そういうコミュニティーとして成立させたいという思いはあります。



今は金土日という3日間だけですが、月曜から木曜も日替わりでスタッフを埋めたいと思っています。

入るスタッフは飲食業の経験は一切問わず、それよりは人生経験の豊富な人に入ってもらいたい。例えば、月曜日は占いが趣味の人がやって占いバーみたいになりますよとか、火曜日はどこかのベンチャーキャピタルの投資家の人が入って投資バーみたいになりますよとか、水曜日はライターさんが入ってインタビューしたりライティング講座をやりますよとか。

そういう感じで、
その人の興味があることや、やりたいものをこのバーという場所を使って広めていく。
それが曜日によって変わることで、曜日を超えた化学反応が起きたら面白いんじゃないかなって。それをうまくビジネスとして、ちゃんと継続できるようにやっていきたいですね。

 

 【岡本】マーケティングコンサルをやりながら、バーはどのくらいの頻度でやっているんでしょうか?

【櫻井氏】
今は週末だけの営業です。
バーは今年の8月に始まってまだ2ヶ月なんですけど、立ち上げの時に想定していないトラブルがあったりとか、
当初の予定より規模はまだまだ全然ダメだなと思っています。まだ満足はしていません。

今、日曜日に入ってくれているメンバーは役者なんですけど、舞台の役になりきって接客するというコンセプトでやってるんですよ。もうすでに常連のお客さんだったり、元々その舞台のファンだったお客さんが集まっていて、けっこういいコミュニティーになってます。
そういうのを見てると、元々やろうとしていたシェアリングバーというコンセプトは間違っていなかったなって思います。あとはそれを色んな人にどう分かりやすく伝えていくのか、というのが今の課題です。

 

 【岡本】場所選びは何かこだわりがあったんですか?

【櫻井氏】
ここは中野新橋という場所なんですけど、ここから歩いて10分くらいの新中野っていう場所に住んでたんです。で、自分がこのお店の常連だったんです。それが、たまたまこのお店の契約が終わるという時に僕が物件を探していて、共通の友人から話をもらったんです。

物件の条件で言うと、本当は10坪以下のお店を探してたんです。
なので、今の店はかなり広いんです。ただ、この店にはよく通ってたし、この街自体もよく知っていたので、「これは運命かもしれないな」と思って決めました。

 

 【岡本】バーは大人になってから考え始めたということでしたが、幼いころの夢はありましたか?

【櫻井氏】
小学校の頃は映画監督になりたいと思ってました。映画が好きでしたから。中学・高校では、映画研究同好会という部活に入っていました。
映画監督を目指してはいたんですが、結局、普通に大学に行ってそのままサラリーマンになった感じです。

 

 【岡本】他に何か趣味はありますか?

【櫻井氏】
趣味と言えば、最近ボードゲームが好きで、この店にも結構置いています。ある社会人サークルに入ったらボードゲームが好きな人がいて、一緒にやったら面白かったんです。
最初「人狼」とか「カタンの開拓者たち」とかをやっていて、面白いなーって思って。ある程度人数が必要じゃないですか。でも人数を集めるのが大変で、なかなか定期的にできなくて。いま自分は毎週土曜日にスタッフとしてバーに入っているんですけど、ボードゲームをやれる場所を自分でつくろうとか、そんなつもりでやってます。

 



 

~仕事が趣味の延長線上だから、決まった休日はありません~

【岡本】休日はどうされているんですか?

【櫻井氏】
休みの日はどうかな…
基本的に平日はウェブマーケティングの仕事をやりつつ、夜はこの店の仕入れとかをやって、土曜日はお店に入って、日曜日はバーの様子を見に来たりしてます。なので、決まった休みはないですね。

かといって、それが仕事なのかと言うと、

趣味の延長線上みたいな感じなんで、あんまり仕事っていう感じはないんですよね。

ウェブマーケティングの仕事も、お客さんと一緒に新しいマーケティングをさせてもらっているとか、お客さんと近い関係で一緒にビジネスをさせてもらってるので、あまり仕事っていう感じはしないんです。

 

 【岡本】仕事のために意識的に休みを取ろうとは思わないですか?

【櫻井氏】
それはありますね。
ずっと動いているとはいえ(仕事や休みは)自由にできるので、ちょっと疲れたなと思ったら今日は午前中で仕事を切り上げて、昼間からちょっとサウナに行って飲んじゃおうかなとか、そういうのはあります。

根を詰めてやるという日もあれば、日中から酒を飲んだり映画を見に行ったりすることも、仕事の一部になると言えばなるし、自分の中でうまくバランスを見てやっています。
今日は気分を変えたいからビジネスホテルを取ってそこで仕事をしてみようとか、自分の中でメリハリをつけています。

 

 【岡本】気の向くままにというか、最初から決めておかずに、状況によって変えるという感じですね。会社員の時はどうでしたか?

【櫻井氏】
会社員の時は自分の中でうまくコントロールできなかったので、ストレスを感じていました。でも、マーケティングは好きでしたね。

自分が全てのことに主導権を持って動いていきたいという気持ちがあるから、
自分が働きたいと思ったら長時間働きます。

 

 【岡本】起業前後で仕事に対する考え方とかポリシーが変わったんですか?

【櫻井氏】
仕事に対する考えというか、生き方に関する考えは変わったと思います。

自分に正直にやるっていう部分です。

そこら辺をすごく意識するようになりました。

最初は全然食えないことも覚悟してたんですけど、初月からお客さんもついて仕事させてもらえることができたので、意外とやっていけるものなんだなって感じました。
もうちょっと早く起業しても良かったかな、と思ったくらいです。

でも、起業とか独立して一人でやるなんて、サラリーマンのときには全然考えていませんでした。定年まで、ずっと会社員でやっていくんだ、という選択肢しかなかったですね。

 

 【岡本】起業や独立するのは、夢としてもなかったですか? あるいは会社で出世して社長になりたいとか?

【櫻井氏】
社長はないですけど、ある程度部下が付いてやっていければいいなとは思っていました。
本当に一般的なサラリーマンと同じ感じでした。

 

<前編はここまで>
会社員の時の実務経験を活かしたマーケティングコンサルタントと、やりたかったシェアリングバーで起業した櫻井氏。後編では、独自の考え方やスタンス、意識していること、そして一歩踏み出すために必要なアドバイスを語ってもらった。

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